虫歯の進行段階と適切な治療方法を徹底解説

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虫歯は、口内の細菌によって歯の表面が溶けてしまう病気です。
発症して間もなくは痛みが少ないので気づきにくいですが、放置していると症状が悪化して、激しい痛みを発するようになります。
また、虫歯の症状は5段階に分類されており、段階に応じた治療が必要です。

そこで本記事では、虫歯の進行段階ごとの症状と、適切な治療方法を解説します。
ご自身の虫歯の症状に不安を感じている方は、ぜひ最後までご覧ください。

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虫歯ができる原因

虫歯の主な原因は、歯の表面に残った汚れ(プラーク)です。
プラークには「ミュータンス菌」という菌が棲みついており、ミュータンス菌が発した酸が歯の表面を溶かすことによって、虫歯へと発展します。

歯磨きが不十分で、口内に汚れが残っていると、それだけ虫歯になるリスクが高くなるということです。

歯の構成

歯は、エナメル質や象牙質、歯髄といった、いくつかの層が重なるように構成されています。
虫歯が歯をどの層まで溶かしているかで、進行段階が異なります。

歯の表面を形成しているのが、エナメル質です。
人体のなかでも特に硬い組織で作られていますが、酸に弱いという特徴があります。
なお、エナメル質が溶けた時点では、特に痛みを感じません。

エナメル質の下にあるのが、象牙質です。
歯の形をつくる層であり、エナメル質より硬度が低いうえに、酸に溶けやすいのが特徴です。
象牙質まで溶けると、冷たいものがしみて、痛みを感じるようになります。

最後に、歯の中心に位置する歯髄です。
歯の神経ともよばれる層で、神経組織や毛細血管が通っていますが、虫歯が歯髄まで達してしまうと、ズキズキと激しい痛みが生じます。
治療の際には、神経を取り除くか、抜歯が必要です。

虫歯の進行段階と治療法

前述したように、虫歯は進行段階によって症状が異なります。
この項では、虫歯の進行段階の目安と、段階に応じた具体的な治療内容を紹介します。

CO

CO(シーオー)は、虫歯の初期段階のことで、経過観察を意味する「Caries Observation」の頭文字を取った略称です。

表面のエナメル質が少し溶けだした状態で、歯に濁りがみられることもあります。
この時点では、特に痛みを感じません。

治療法

COの段階では、歯を削る治療は必要ありません。
適切な歯磨きを継続して、口内を清潔な状態に保ちましょう。

なお、COの段階でフッ素を塗布しておくと、虫歯の進行を抑制できるのでおすすめです。
フッ素塗布には、虫歯の原因であるミュータンス菌のはたらきを弱めて、酸の生成を抑える効果があります。
また、歯から溶け出したカルシウムやリンを補い、エナメル質を再生させる「再石灰化」の促進も期待できます。

C1

C1は、虫歯の進行がエナメル質だけにとどまっている状態です。

歯に小さな穴が開き、黒ずみが生じます。
冷たいものを噛むとしみることはありますが、さほど痛みは感じません。

自覚症状が少なく、歯科医師の診察によって発見されることがほとんどです。

治療法

C1は、虫歯に浸食された部分を削り、レジンという歯科用プラスチックを詰めて、治療を行います。

歯の表面を最小限に削る程度なので、痛みは少なく、大体は麻酔を使用せずに処置します。
また、詰め物に使用するレジンは歯と同じ色をしているので、治療後に目立つ心配はありません。

C2

C2は、虫歯がエナメル質の内側にある象牙質まで達した状態です。
虫歯によって開いた歯の穴が大きくなるので、食べ物が詰まりやすくなります。
また、冷たいものや甘いものが患部にしみて、飲食時に痛みを生じるようになるのが特徴です。

象牙質は、エナメル質に比べて柔らかいので、C1のときより虫歯の進行が早くなる傾向があります。

治療法

C2は、C1と同じように虫歯が感染した部位を除去し、詰め物を入れて治療します。
ただし、虫歯が象牙質に達している場合には、治療中に痛みをともなうため、麻酔が必要です。

詰め物には、レジンかインレーのいずれかを使用します。
レジンは、C1の治療に使用したものと同じで、歯を削ってできた穴に直接薬剤を充填して、患部を塞ぎます。
歯型を取る必要がなく、当日の処置が可能です。

一方インレーは、虫歯を削った穴に合わせて作成する詰め物です。
歯型を取らなければならず、作成には1~2週間程度かかります。

レジンは、歯に近い色合いを持っているので、目立ちにくく、前歯の治療に適しています。
しかし、耐久性が低いため、奥歯のような強い力のかかる歯の治療には不向きです。

一方、インレーは使用する材質によっては目立つ場合があり、審美性に悪影響を及ぼすおそれはあるものの、強い耐久性を誇ります。

レジンとインレーには、それぞれにメリットとデメリットがあるので、治療する歯の部位や状態に応じて使い分けたいところです。

C3

虫歯の進行が神経まで到達した状態です。
歯の表面に大きな穴が開き、腫れや膿が発生することがあります。

また、ズキズキとした激しい痛みをともないます。

治療法

虫歯が神経まで到達した場合には、根菅治療が必要です。
根菅治療は、歯の神経を取り除き、神経が入っていた菅の内部をきれいに消毒したうえで、薬剤を詰める治療方法です。

治療の際には激しい痛みがともなうため、麻酔を使用します。
根管治療には3~5回程度の通院が必要になり、治療が終わるまでに1か月程度を要します。

C4

C4は、歯の大部分が溶けてなくなり、歯根まで完全に虫歯が進行した状態です。

神経が壊死しているので、痛みを感じなくなることがあります。
しかし、放置していると、膿が溜まって再び激しい痛みを発するおそれもあるので、油断はできません。
歯自体がほぼ崩壊しているため、元の状態に戻すのは不可能です。

治療法

C4まで進行した歯は、抜歯しなければなりません。
抜歯後は、入れ歯やブリッジ、インプラントを用いて、失った歯の機能を補う処置が必要です。

虫歯を予防する方法

日頃の行動によっては、虫歯のリスクを減らすことが可能です。
虫歯が発生するメカニズムを理解して、予防を心がけましょう。

方法①ブラッシングを入念に行う

虫歯の予防において、もっとも重要なことは歯磨きです。

虫歯の原因であるプラークを減らせれば、それだけ虫歯になりにくくなります。
1日3回の食後のブラッシングを徹底しましょう。

また、デンタルフロスや歯間ブラシなどをあわせて使うと、より効果的です。

方法②糖分を控える

虫歯の原因であるミュータンス菌は、糖分を好む性質があります。
お菓子をはじめとする、糖分の高い食事を食べると、口内のミュータンス菌が活性化し、多くの酸を生成するので、虫歯になるリスクが高まります。

普段の食事から糖分の摂取量を減らし、甘い物を食べたあとには歯磨きやうがいをするといった心がけが大切です。

方法➂定期健診を受ける

虫歯の予防には、定期健診が効果的です。

虫歯の初期症状であるCOでは、痛みがないので、ご自身で気づくのは困難です。
また、気づかずに放置していると、症状が進行して重症化してしまう危険性もあります。

しかし、定期的に歯科医師による定期健診を受けておけば、たとえ虫歯が発症したとしても、早期発見・早期治療が可能です。
年に3回程度を目安に定期健診を受けると、虫歯になるリスクを大幅に減らすことができますよ。

虫歯は放置してもよいのか?

虫歯は痛みがなかったとしても、放置してはなりません。
溶け出した歯が自然治癒することはなく、歯科医師による治療が必要不可欠です。

虫歯の症状が進行すると、激しい痛みを引き起こして、日常生活に支障をきたします。
また、神経まで達した場合には、神経の摘出や、抜歯が必要になります。

健康的な歯を守るためにも、虫歯に気づいたら、早めに歯科医院に受診して治療を受けましょう。

こちらの記事では、虫歯が痛くなった時の応急処置について解説していますので合わせてご覧ください。
関連記事:虫歯が痛いときの応急処置のやり方とは?注意点も紹介

虫歯は進行段階に応じた適切な治療を受けましょう

虫歯には、症状によって段階が定められています。
段階が進行するごとに歯を削る範囲が広がり、重症化した場合には神経の除去や抜歯が必要になります。

なお、一度削った歯が元に戻ることはありません。
健康的な歯を守るには、早期治療と日頃のセルフケアが重要です。

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コラム監修者

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中島 航輝
なかじま こうき

役職

理事長(梅田院の院長)

資格

略歴

  • 1997年 明海大学 歯学部入学
  • 2003年 同大学 卒業
  • 2003年 東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 顎口腔機能再構築学系 摂食機能保存学講座 摂食機能保存学分野 博士課程 入学
  • 2006年 顎咬合学会 特別新人賞
  • 2007年 同大学院 修了 歯学博士所得
  • 2007年 東京医科歯科大学 歯学部附属病院 医員
  • 2007年 世田谷デンタルオフィス 開院
  • 2008年 医療法人社団世航会 設立
  • 2013年 明海大学歯学部 保存治療学分野 非常勤助教
  • 2014年 明海大学歯学部 保存治療学分野 客員講師
  • 2015年 昭和大学歯学部 歯科矯正学分野 兼任講師
  • 2016年 明海大学歯学部 補綴学講座 客員講師
  • 2020年 日本大学医学部 大学院医学総合研究科生理系  入学

著者本など

「まずはこの1冊から! はじめてのホワイトニング」
「dentist インタビュー記事」
「東京ドクターズ インタビュー記事」
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