オールオン4とは?メリット・デメリットも解説
オールオン4治療法は、少ないインプラントで大きな変化をもたらし、見た目も良く機能的な全顎の再建が可能です。
この記事では治療の基本から、どれくらい持つか、注意点、そして患者さんが知っておくべき治療の手順について詳しく解説します。
目次
オールオン4とは
オールオン4治療法は、全顎治療における最新の方法であり、効果的で安定した歯の再建が実現できます。
ここからオールオン4について詳しく解説していきます。
オールオン4の仕組み
オールオン4治療法は、顎の骨に埋め込む4本のインプラントで12本の人工歯をしっかり支えます。
総入れ歯と異なり、インプラントが歯を固定するので、ずれる心配なくしっかり噛めます。取り外す必要がなく、自分の歯のように日々のお手入れが可能です。
この方法は、自然な見た目と噛みやすさで、多くの患者さんに選ばれています。
オールオン4の寿命
オールオン4インプラントは長期にわたって高い成功率を保つことが明らかになっています。
とくに5年後の残存率は96.3%、20年後でも約86%に達し、長い寿命と安定性が示されています。
このように寿命が長持ちする理由の一つとして、定期的なメンテナンスと日常のケアの重要性が挙げられます。
実際に、毎年メンテナンスを受けたケースでは、インプラントが36年間も持続した例もあります。
これらのデータは、オールオン4インプラントの効果の持続性と、適切なケアが成功への鍵であることを強調しています。
オールオン4のメリット
オールオン4治療法は、従来の歯科治療と比べてさまざまなメリットがあります。
ここでは、オールオン4がもたらす主なメリットに注目して詳しく説明します。
メリット①治療期間が短い
オールオン4治療の大きなメリットは、治療期間が短いことです。
この手法では、インプラントを設置し、その日のうちに人工歯を固定することが可能です。通常のインプラント治療では、フィクスチャーを埋め込んだ後に数ヶ月間待機し、歯肉の治癒を経てから人工歯を装着するため大きく異なります。
オールオン4により、手術と人工歯の装着を同日に行うことで、患者さんの通院の手間を大きく削減し待機時間を短縮できます。
メリット②治療費を抑えられる
オールオン4の大きなメリットの一つは、治療費の削減です。
使用するインプラントの数を減らすことで、通常インプラント治療よりもコストを抑えることが可能です。具体的な削減金額は後述します。
メリット③身体への負担を軽減できる
オールオン4治療法は患者さんの身体の負担を大きく減らします。
このアプローチにより、わずか4本のインプラントで多数の義歯を支えることが可能になり、それに伴い顎の骨に必要な穴の数も最小限に抑えられます。
穴が少ないことで手術時間が短くなり、結果的に患者さんの身体への負担が軽減されます。
メリット④顎の骨が薄い方でも治療できる
オールオン4治療法は、顎の骨が薄い人にもインプラント治療を可能にします。
従来の手法では、十分な骨の量がない場合にはインプラントの安定性に問題が発生し、時には骨を増やすための外科手術が必要でした。
しかし、オールオン4では、限られた骨量の中でも選ばれた骨のある部分にインプラントを配置することにより、多くの場合、追加手術なしで治療を進めることができます。
これにより、患者さんは身体へのストレスや治療に関する費用を抑えることが可能になります。
メリット⑤審美性に優れている
オールオン4治療は、審美性に優れた結果をもたらします。
この治療法により、連結した複数の人工歯を同時に装着するため、天然歯と見分けがつかないほどの自然なバランスと美しさを実現します。
色、形、質感が統一されており、見た目を重視する方には大きなメリットになります。
オールオン4のデメリット
これまでオールオン4治療法のメリットについて解説してきましたが、メリットがあればデメリットも存在します。
以下では、オールオン4の治療における主なデメリットに焦点を当てて詳しく説明します。
デメリット①残っている歯を抜歯する必要がある
オールオン4治療を受ける際、残っている歯を抜歯する必要があります。
この治療法では、一つの義歯をインプラントで固定するため、場合によっては健康な歯も除去されます。
一方で、抜歯する歯の中に歯周病に侵されていたり虫歯で損傷していたりする歯がある場合には、それらを抜歯することで結果的に口内環境の改善に繋がる可能性もあります。
重要なのは、全体の口腔健康を改善し、長期的に安定した咬合と審美性を実現することです。
デメリット②治療できる医療機関が限られる
オールオン4治療は特定の歯科クリニックのみが行う専門的な手法であり、すべてのクリニックで受けられるわけではありません。
インプラント治療を行う多数のクリニックでさえ、オールオン4に対応していない場合があります。
そのため、長期的なフォローアップやメンテナンスを考慮に入れると、適切なクリニックの選定が治療成功のためには欠かせません。
デメリット③メンテナンスを受ける必要がある
オールオン4治療後のメンテナンスは、年に最低1〜2回必要です。
これはインプラントが破損するリスクを防ぐためです。
インプラント治療を受けた後も、口腔内の健康維持のためには定期的なメンテナンスが欠かせません。
インプラントにした歯は虫歯になることはありませんが、歯周病に類似した病気(インプラント周囲炎)のリスクがあります。
そのため、治療完了後もメンテナンスの重要性を理解し、定期的なケアを怠らないことが重要です。
デメリット④手術できないケースがある
オールオン4治療が不向きなケースにはいくつかの条件があります。
未成年の方は、顎の骨がまだ成長中であるため、この治療法を受けることはおすすめできません。
また、糖尿病や肝臓疾患などの全身疾患がある人、喫煙を止められない人、アルコール依存症の人は、これらが治療の成果に悪影響を与える可能性があるため、治療が困難な場合があります。
チタンを含む金属アレルギーのある人や、自分の天然の歯を保持したい人、自己ケアが難しい人も、オールオン4治療の対象外になることがあります。
これらの条件に該当する人は、治療に進む前に医師と相談した方がよいでしょう。
医師は、個々の状況に合わせて適切な助言や、可能であれば他の治療オプションを提案してくれます。
大切なのは、個人の健康状態や要望に合った治療の選択を行うことです。
オールオン4がおすすめのケース
オールオン4がおすすめな方のケースを、以下の表でまとめました。
ぜひ参考にしてみてください。
特徴 | 説明 |
歯の多くをインプラントにしたい方 | 天然歯に近い義歯を求めている方 |
治療費用を抑えたい方 | オールオン4は比較的費用を抑えられる治療法です |
健康面・機能面で優れた義歯を求めている方 | 総入れ歯に比べて、食事や会話がしやすくなります |
口元の審美性にこだわる方 | 一貫した見た目で自然な笑顔を取り戻せます |
身体への負担を減らしながら治療したい方 | 最小限の手術で済み、回復期間も短くなります |
顎の骨が少ない方 | 特殊な手法で骨の量が少ない場合でも治療が可能です |
虫歯や歯周病で多くの抜歯が必要な方 | 多数の歯を失っている場合でも、オールオン4で機能的な義歯を得られます |
オールオン4は、これらの特性を持つ人にとって、美しさ、使い勝手、コスト、そして身体的な負荷の少なさという、さまざまなメリットをもたらす治療となります。
オールオン4の費用
オールオン4に興味が出てきた方は、費用が気になるところだと思います。
以下では、オールオン4治療と従来のインプラント治療の費用比較を表にまとめましたので参考にしてみてください。
項目 | オールオン4治療費用 | 従来のインプラント治療費用 |
片顎あたり | 200~300万円 | 3,936,000~4,788,000円 |
インプラント本数 | 一式で12本相当 | 12本 |
1本あたりの費用 | – | 328,000~399,000円 |
この表から、オールオン4治療は、片顎あたり約190万円のコスト削減が見込まれることがわかります。
多数の歯をインプラントで置き換える際、オールオン4は費用効率の良い方法であることが明らかになっています。
関連記事:オールオン4にかかる費用はどのくらい?相場と節約方法を紹介
オールオン4の治療の流れ
オールオン4治療法は、そのメリットとデメリットを考慮した上で、患者さまに合わせた具体的な手順を通じて実施されます。
以下では、オールオン4治療の一般的な流れについてステップごとに解説します。
ステップ①カウンセリング・精密検査の受診
オールオン4治療を始める前に、患者さんはカウンセリングと精密検査を受けます。
まず、カウンセリングでは治療の方法や、そのメリットとデメリット、さらには費用や治療期間についての概算が説明されます。
次に、精密検査が行われ、これには歯周病の検査、口腔内の写真撮影、CTスキャン、パノラマレントゲンが含まれます。
さらに、患者さんに持病がある場合は、内科主治医との相談が必要になることもあります。
この一連の手順を通じて、患者さんの口腔内の正確な状態が把握され、個々の状況に合わせた治療計画が立てられます。
治療法は、残っている歯の本数、顎の骨の量や骨密度に基づいて決定されるため、精密検査の結果が非常に重要になります。
ステップ②治療方針の決定
オールオン4治療を受ける際、最終的な費用、治療期間、そして治療の進め方に関する説明は非常に重要です。
この時点で、患者さんは自分の希望や不明点を医師に相談できます。
もし治療前に気になることがあれば、疑問を解消する絶好の機会です。
ステップ③手術
インプラント治療の流れは、埋め込みからアバットメント装着、縫合、そして仮の人工歯の装着までの手順を含みます。
手術の最初に、顎の骨にインプラントを埋め込みます。
その後、インプラントと人工歯をつなぐアバットメントを設置します。
次に、歯茎を切開した部位を縫合し、出血が止まったら仮の人工歯を取り付けて手術は終了します。
ステップ④最終的な人工歯の装着
インプラント治療では、仮の人工歯の装着後約6ヶ月間の経過観察期間を経た後、最終的な人工歯が取り付けられます。
しかし、治療完了後もメンテナンスを受けましょう。
定期的なメンテナンスは、インプラントの長期的な状態を維持するために欠かせないものであり、トラブル発生時に保証を受けるための条件となることもあります。
治療後も、インプラントを健康に保つために、メンテナンスの受診を怠らないようにしましょう。
ステップ⑤定期健診の受診
オールオン4手術を受けた後、患者さんには定期的な検診が求められます。
この検診は、インプラント周囲炎やその他の問題を早く見つけ出し、症状が悪化するのを防ぐためには大切なことです。
定期検診を怠った場合、インプラントの保証が適用されなくなるリスクもあるため、手術後の健康維持には欠かせないものです。
オールオン4とは何かを理解し慎重に治療を検討しよう
オールオン4治療法は、短い期間で審美性と実用性を兼ね備えた全顎治療を可能にします。
しかし、適切な医療機関選びや定期的なメンテナンスが大切です。
治療の流れはカウンセリングから始まり、精密検査、手術、最終的な人工歯の装着、そして定期健診を経て完了します。
デンタルオフィス大阪梅田では、患者さん一人ひとりの状況に応じた治療計画を提案し、安心して治療を進められるよう支援します。
オールオン4に関しては、ぜひデンタルオフィス大阪梅田にご相談ください。
コラム監修者
資格
略歴
- 1997年 明海大学 歯学部入学
- 2003年 同大学 卒業
- 2003年 東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 顎口腔機能再構築学系 摂食機能保存学講座 摂食機能保存学分野 博士課程 入学
- 2006年 顎咬合学会 特別新人賞
- 2007年 同大学院 修了 歯学博士所得
- 2007年 東京医科歯科大学 歯学部附属病院 医員
- 2007年 世田谷デンタルオフィス 開院
- 2008年 医療法人社団世航会 設立
- 2013年 明海大学歯学部 保存治療学分野 非常勤助教
- 2014年 明海大学歯学部 保存治療学分野 客員講師
- 2015年 昭和大学歯学部 歯科矯正学分野 兼任講師
- 2016年 明海大学歯学部 補綴学講座 客員講師
- 2020年 日本大学医学部 大学院医学総合研究科生理系 入学