公開日 2023.06.27 更新日 2025.09.02

歯周病にかかると口が臭くなる理由と口臭の種類・確認方法

歯周病は中高年層に多くみられるお口の中のトラブルです。歯周組織が衰えていき、歯がぐらぐらとしてきて、歯を支える骨までも失ってしまう恐ろしい病気です。

歯周病にかかると、初期症状として炎症が発生し、放置していくほどに状態は悪化していきます。進行によっては口臭が現れてきますが、具体的にはどのような症状なのでしょうか。

この記事では、歯周病にかかることで口臭が強くなる理由や臭いの種類、確認方法について紹介します。

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歯周病になると口臭が強くなる理由

歯周病によって口臭が発生するのは、歯周病を引き起こす細菌が口の中に残っている食べかすや糖分を分解する際に、硫化水素やメチルメルカプタンというガス成分を発するためです。

歯周病菌は人間の食べる物をエサにして繁殖しますが、分解の際にガスが出て口の中に拡がり、口臭となります。歯周病の症状がどの段階であっても、ガスが出るという点では共通しています。

硫化水素は卵の腐ったような臭い、メチルメルカプタンは生ゴミと同じような臭いを放つため、どちらも不快な口臭の原因になります。食べ物を食べた口の中から口臭が漂うときは、歯周病菌が活発に動いているサインとも考えられます。

関連記事:歯周病と歯肉炎の違い|押さえておきたいこれらの原因と対処法

歯周病による口臭の種類

歯周病による口臭の種類は大きく分けて3種類あります。「腐った卵のような臭い」など、いやな臭いの特徴についてみていきましょう。

種類①腐った卵のようなニオイ

口臭に多くみられる「腐った卵のようなニオイ」は、歯周病菌の代謝分解によって硫化水素が発生している可能性が考えられます。

歯周病菌の特徴は嫌気性であり、酸素の少ない部分を好んで増殖するため、歯周ポケットのように酸素の少ない奥まった部分を清潔にすると改善する可能性があります。

種類②タマネギが腐ったようなニオイ

タマネギが腐ったようなニオイは、生ゴミと同じような臭いで知られるメチルメルカプタンの発生が考えられます。

こちらも歯周病菌が口の中のものを分解代謝する過程で発生しますが、毒性が強いため口臭だけではなく歯周病の悪化を招くおそれもあります。

種類③生ゴミのようなニオイ

生ゴミのようなニオイは、メチルメルカプタンの発生によるものです。

タマネギが腐ったような鋭さがなくても、生ゴミ臭がしたときは歯周病を悪化させないために、口の中を清潔に保つようにしましょう。

口臭の確認方法

お口の中の臭いは、直接嗅ぐことができないため自分で気づきにくいものです。ここからは、口臭を確認する4つの方法についてみていきましょう。

袋やコップを使用したセルフチェック

袋やコップに息をはき、その臭いをチェックする方法です。身近なアイテムを使って手軽に口臭チェックができますが、普段から口臭に慣れてしまっている場合は違和感に気づきにくい可能性もあります。

セルフチェックは可能なかぎりこまめに行う必要がありますが、可能であれば第三者にも確認してもらうと良いでしょう。

第三者に確認してもらう

自分で気づけ無い口臭は、家族や知人といった第三者に協力してもらうこともできます。臭いへの捉え方が異なる第三者であれば、タマネギのような鋭い臭いや生ゴミの臭いにも気づきやすく、指摘によって改善が期待できます。

中等度以上の歯周病に至っていない軽度な虫歯や歯肉炎は膿や出血を伴わず、細菌の量もそれほど多くはないため、きつい口臭が発生していない場合があります。その際は「口臭測定器」が活躍します。

口臭測定器でチェック

口臭測定器は「口臭チェッカー」「ブレスチェッカー」という名称でも販売されています。測定器の精度や口臭の内容によって結果に差がつくこともありますが、手軽にチェックできるアイテムを一つ持っておくと便利です。

「測定結果が低いのにきつい口臭がする」「測定結果よりも口臭がきつい気がする」という場合もありますが、その場合は第三者に協力を依頼するか、かかりつけの歯科クリニックや専門医を受診して、口腔内の検査を受けると良いでしょう。「細菌検査」と呼ばれる方法でも口の中の状態をチェックできます。

細菌検査を受ける

細菌検査(口腔内細菌検査)とは、唾液または歯垢を採取して分析する方法です。リスク検査の一種であり、原因菌の量や内容を調べて口腔関連疾患や全身疾患のリスクをチェックできます。

歯周病治療を実施しているクリニックの多くで検査ができますが、検出可能な菌の種類や数は一律ではないため、かかりつけのクリニックや専門医に相談してください。

乾いた唾液のニオイを確認する

乾いた唾液のニオイを嗅いで、口臭をチェックすることもできます。
具体的なチェック方法は以下のとおりです。

【口臭チェックの方法】

  1. 石鹸などを使って手をきれいに洗う
  2. 指で歯と歯茎の境目、舌の上などを触る
  3. 唾液が乾いてから指先のニオイを嗅ぐ

嫌なニオイを感じる場合は、口臭が強くなっている恐れがあります。
本来の唾液は、サラサラしていてほとんどニオイがないためです。
原因のひとつは、細菌の活動です。
細菌が生成した揮発性硫化化合物が、無臭だった唾液に溶けてニオイが強くなっている可能性があります。
唾液がネバネバしている場合も注意が必要です。
揮発性硫化化合物の影響で、ネバツキが生じていると考えられます。

歯周病による口臭の治療と対策

続いて、歯周病が引き起こす口臭の治療と対策について解説します。

定期健診を受ける

基本の対策として、歯科クリニックで受ける定期検診があげられます。
さまざまな取り組みで、歯周病を予防できるためです。
具体的な取り組みとして、以下の2つがあげられます。

定期検診で行う対策期待できる効果
クリーニング磨き残しで生じた歯石や歯垢を取り除ける
歯磨き指導磨き方の癖を理解して、正しい歯磨きを身につけられる

歯周病の主な原因は、歯垢(プラーク)の蓄積です。
歯垢を放置していると、細菌の温床になる歯石へ変化します。
この流れに深く関わっているのが歯磨きの磨き残しです。
セルフケアを徹底している場合でも無関係ではありません。
誰にでも磨き方に癖があるためです。

定期検診でクリーニングを受けると、磨き残しで生じた歯垢や歯石を取り除けます。
歯ブラシ指導では、磨き方の癖を理解し、正しい歯磨き方法を身につけられる点も重要です。
継続的に受けることで、セルフケアの質を高められます。

以上のとおり、歯科クリニックの定期検診は、歯周病の予防などに効果的です。
口臭が気になる方は、積極的に受けましょう。

歯周病を治療する

ここまで説明してきたとおり、歯周病は口臭を強くする原因のひとつです。
嫌なニオイを防ぎたい方は、歯周病の治療を検討しましょう。

ポイントは、早めの治療を心がけることです。
歯周病の程度を問わず、ニオイを引き起こすガスは発生します。
また、目立った症状を現しにくいため「まだ大丈夫」と考えていると、いつの間にか進行している恐れがあります。
放っておくと、口臭だけでなく、歯の脱落を招くため注意が必要です。

歯周病の治療は歯科クリニックで受けられます。
基本の治療は以下のとおりです。

【歯周病の基本治療】

  • 歯垢の除去
  • 歯石の除去
  • 歯根部の滑沢化
  • 噛み合わせの調整

初期であれば、歯垢や歯石を取り除くだけで治ることがあります。
進行すると外科治療の必要性が高まるため、早めの治療を心がけることが大切です。

クリニックを受診すべきタイミング

歯周病は、自覚症状が現れにくい病気です。
気になるものの、受診のタイミングがわからないと感じている方もいるでしょう。
ここでは、受診を検討したい主なタイミングを紹介します。

強い痛みがある

歯に強い痛みを感じている場合は、歯科クリニックをできるだけ早く受診しましょう。
歯周病が進行して、歯を支える組織まで炎症が及ぶとこのような症状が現れるためです。
具体的には、物を噛むと痛い、歯を合わせると痛いなどの症状が考えられます。
できるだけ早く治療を受けて、歯周病の進行を止めることが大切です。

強い痛みは、消炎鎮痛剤を服用すると緩和できます。
ただし、同じ薬で歯周病を治せるわけではありません。
痛みが治まってから、歯垢や歯石を取り除く、歯根部のクリーニングを行う、噛み合わせを調整するなどの治療を受ける必要があります。

歯茎から出血する

歯を磨くと歯茎から血がでる場合も歯周病の恐れがあります。
ただし、この症状だけで状態を評価することはできません。
炎症が歯茎に限られている初期の段階でも出血するためです。
当然ながら、進行している場合でも出血することはあります。

以上を踏まえて、できるだけ早くクリニックで相談することが大切です。
軽度であれば、大きな負担を感じずに治せることがあります。
歯を支える骨などに影響が及ばない点もポイントです。
中度~重度の場合も、早く治療を受けることでお口の健康を守りやすくなります。
辛い症状が現れていなくても、見過ごさないようにしましょう。

化膿している

歯茎から膿がでる場合も、歯周病が疑われます。
膿が常に出ている場合は、進行していると考えられるため注意が必要です。
膿が出る頻度にかかわらず、クリニックの受診が必要といえるでしょう。

ちなみに、膿もメチルメルカプタンを含むため口臭を引き起こします。
食べかすと混ざると、ニオイはさらに強くなります。
口臭を気にしている方が気をつけたい症状です。

残念ながら、歯周病が自然治癒することはありません。
放っておくと少しずつ悪化します。
膿がでている方は、治療のタイミングと考え、クリニックを受診しましょう。

関連記事:歯周病治療の流れとセルフケアのポイントを紹介

歯周病や口臭で気になるポイントは専門医を受診

今回は歯周病を原因とする口臭の原因と対処法について紹介しました。

歯を磨いて歯間ブラシを使う方法は対策方法として有効ですが、口臭の内容や臭いが気になるときは測定器を使うか、細菌検査で内容をチェックすることをおすすめします。また、根本的な解決策として歯周病の専門的な治療や喫煙習慣の見直しも検討してみてください。

歯科クリニックでの治療は一人ひとりによって異なりますが、早期発見・早期治療が重要です。心配な症状がある方は身近なかかりつけ医へご相談ください。

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コラム監修者

監修者の写真

中島 航輝
なかじま こうき

役職

理事長(梅田院の院長)

略歴

  • 1997年 明海大学 歯学部入学
  • 2003年 同大学 卒業
  • 2003年 東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 顎口腔機能再構築学系 摂食機能保存学講座 摂食機能保存学分野 博士課程 入学
  • 2006年 顎咬合学会 特別新人賞
  • 2007年 同大学院 修了 歯学博士所得
  • 2007年 東京医科歯科大学 歯学部附属病院 医員
  • 2007年 世田谷デンタルオフィス 開院
  • 2008年 医療法人社団世航会 設立
  • 2013年 明海大学歯学部 保存治療学分野 非常勤助教
  • 2014年 明海大学歯学部 保存治療学分野 客員講師
  • 2015年 昭和大学歯学部 歯科矯正学分野 兼任講師
  • 2016年 明海大学歯学部 補綴学講座 客員講師
  • 2020年 日本大学医学部 大学院医学総合研究科生理系  入学
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