歯周病治療の流れとセルフケアのポイントを紹介

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歯周病は、日本人の約4割に症状が出ている、代表的な歯の疾患です。
誰でも発症しうるもので、悪化すると歯だけでなく、全身にまで影響を及ぼす可能性があるため、気をつけなくてはなりません。

そこで本記事では、歯周病になった際の治療の流れと、予防するためのセルフケアのポイントをご紹介します。
すでに自覚症状がある方も、まだ大丈夫だと安心している方も、ぜひ一度ご覧ください。

参照元:平成28年歯科疾患実態調査

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歯周病を放置すると起こりうるリスク

はじめに、歯周病がどのような病気なのかをおさらいしておきましょう。
歯周病は、口内で繁殖した細菌によって歯ぐきが腫れてしまったり、歯が支えている骨が溶けたりする病気です。
そんな歯周病を治療せず放置すると、どのようなリスクがあるのか、2つご紹介していきます。

リスク①歯が抜け落ちる

歯周病が悪化すると、歯を支えている骨が溶けて不安定な状態になり、最終的には歯が抜け落ちてしまいます。
こうなると、食べ物が噛みにくくなるだけではなく、顎の骨が弱くなったり、歯周病の原因となった細菌が口内に広がったりして、残った歯にも悪影響を及ぼします。

リスク②全身疾患を引きおこす

放置した歯周病の影響は、口内だけにとどまりません。
腫れた歯ぐきから出血すると、その部分から細菌が血管内に入り込み、さまざまな全身疾患を引きおこします。

狭心症や心筋梗塞

狭心症や心筋梗塞はいずれも、動脈硬化によって心臓周りの血管が狭くなったり、塞がったりすることで、心臓へ血液を送ることが困難になる病気です。
近年、その動脈硬化を引きおこす要因の1つが、血管に入り込んだ歯周病の細菌ではないかとの見方が強まっています。
血管に侵入した細菌は、プラークとよばれるコブ状の物質を生成しますが、このプラークが血管の内側に蓄積されることで、動脈硬化を引きおこすと考えられているのです。

糖尿病

また糖尿病も、歯周病が原因で悪化する可能性がある病気です。
以前から、歯周病は糖尿病にかかった際の合併症の1つと言われてきましたが、最近では、歯周病が糖尿病の症状を悪化させるという、相互の関係が明らかになりつつあります。

歯周病がどのように糖尿病に影響するかというと、まず原因となる細菌が、血液中に毒素を放出します。
この毒素が、血糖値を下げるホルモンであるインスリンのはたらきを阻害し、血糖値を下げにくくしてしまうのです。
実際、糖尿病患者が歯周病を治療すると、血糖値のコントロールも改善されたという報告が上がっています。

参照元:糖尿病ガイドライン2019

誤嚥性肺炎

ほかにも、気管や肺に入った細菌が原因となる、誤嚥性肺炎という病気が存在します。
誤嚥性肺炎とは、気管や肺に誤って食べ物などを飲み込んだ際に、同時に口内の細菌も飲み込んでしまうことで発症する肺炎の一種です。
この肺炎の原因となる細菌の主たるものが、歯周病の細菌なのです。
特に高齢者は、咳をして異物が入らないようにする能力が衰えており、細菌の入り込む可能性が高いため、誤嚥性肺炎が発症しやすい傾向にあります。
そのため高齢の方が歯周病になってしまった場合は、誤嚥性肺炎を予防するためにも、歯周病治療を受けることがより重要です。

胎児への影響

妊婦の方が歯周病にかかると、低体重児および早産の危険度が高くなるおそれがあります。
ですので、これから出産を控えている方は、生まれてくる赤ちゃんのためにも、毎日歯のセルフケアをしたうえで、自覚症状が現れた場合はただちに歯医者で診てもらいましょう。

歯周病治療の流れ

ここまでの内容で、歯周病を放置するとさまざまなリスクがあると、ご理解いただけたのではないでしょうか。
では次に、実際に歯周病を治療する場合、どのような流れで進むのかを、7つのステップに分けてご説明していきます。

ステップ①検査とカウンセリング

最初は、実際に歯周病を発症しているかどうかの確認、あるいは発症している歯周病の進行度を把握するために、検査とカウンセリングを行います。
以下は、検査で確認する項目の例です。

歯周病の検査で確認する項目の一例

  • 歯周ポケットの深さ
  • 歯ぐきからの出血の有無
  • 歯垢や歯石の付着
  • 歯のぐらつき
  • 歯槽骨(歯がはまっている部分の骨)への影響の有無

これらの検査結果や自覚症状をふまえて、歯周病と診断された場合は、検査結果や現在の状態を患者に説明し、今後どのように治療していくのかを決めていきます。

ステップ②歯磨き指導

歯周病と診断されても、すぐに治療が始まるわけではありません。
治療後の歯磨きの仕方に問題があるままでは、症状が改善されないこともあるため、まずは、正しい歯磨きの仕方をレクチャーします。

歯と歯のあいだに入り込んだ歯垢は、専用のブラシやフロスを使ってケアする必要があるので、そちらの使い方やケアの方法もしっかり聞いておきましょう。
また歯を磨き口内環境を清潔にすると、歯ぐきの炎症が軽減され内側にある歯石が見えやすくなり、歯石除去がしやすくなるというメリットもあります。

こちらの記事では、自宅でのセルフケア方法について解説していますので合わせてご覧ください。
関連記事:歯周病は自然に治る?自宅でのセルフケアと歯科医院での直し方

ステップ③歯の表面の歯石除去

歯磨き指導の次のステップは、スケーリングです。
スケーリングでは、超音波スケーラーとよばれる器具を使い、歯磨きで取り除けなかった歯石や歯垢などの汚れを除去していきます。
歯周病が軽度であれば、これだけでも症状が改善されることがあり、その場合は指導に基づいた自宅でのセルフケアと、定期的なクリーニングで症状の悪化を防ぐことが可能です。

ステップ④歯周ポケットの歯石除去

歯周病が中度や重度まで進行すると、歯周ポケットという歯と歯ぐきのあいだの溝に、歯石がたまってしまいます。
この歯周ポケットの歯石除去で必要になるのが、ルートプレーニングとよばれる手法です。

ルートプレーニングでは、専用の器具で歯の根の表面の汚れた部分や軟化した部分を削る作業と、表面を滑らかに仕上げる作業を行います。
歯周ポケットが深くなって歯垢がたまりやすい状態になっていても、たまった歯石を除去することで改善されることがあるため、歯石除去はとても重要なステップです。

ステップ⑤歯周外科治療

さらに歯周病が進行すると、歯周ポケットが深くなり、目視できない部分にまで歯石が蓄積されていきます。
そうなると、ルートプレーニングでも歯石の除去ができないため、この場合はフラップ手術とよばれる外科治療が必要となります。

フラップ手術とは、局所麻酔をかけて歯ぐきを切開し、歯の根元を見えるようにした状態で、残った歯石などの汚れを除去する方法です。
また汚れを取るだけではなく、歯槽骨を整形し、歯ぐきを縫い合わせることで、歯周ポケットの深さを減らす施術を行う場合もあります。

ステップ⑥嚙み合わせの調整

ここまでのステップで、歯石の除去や歯周ポケットの治療を行いましたが、歯周病の再発防止としてはまだ不十分です。
口内全体の環境を、歯垢がつきにくい、またついても取りやすい状態にする必要があります。
そのためには、歯に過度の負担がかからないようにし、全体のかみ合わせを調整しなくてはなりません。

寝ているあいだの歯ぎしりや食いしばりは、歯に負担をかける原因の1つなので、マウスピースを利用して負担を軽減する必要があります。
また口内全体のバランスを考えて、調整のためにぐらついた歯を抜く場合もあります。
もし嚙み合わせが気になるのであれば、医師と相談して、自分に合った矯正方法で調整することをおすすめします。

ステップ⑦定期健診

歯周病の治療が終わったあとは、一時的に症状が改善されますが、完治することはありません。
日々のケアが不十分であれば、すぐに歯周病は再発してしまうので、3~6か月ほどを目安に定期検診を受けることをおすすめします。
歯周病の改善状況や普段のセルフケアの状況を定期的に診てもらうことで、再発の防止、あるいは再発した際の早期対応につながります。

歯周病を予防するセルフケアのポイント

歯周病を改善するためには、ここまでに述べた治療を受けることも大事ですが、毎日欠かさずセルフケアを行うことが最も重要です。
歯医者で治療したとしても、日々のケアを怠っていれば歯周病の再発は防止できません。
歯周病を予防するためにも、これからご紹介する3つのポイントに注意して、日々のセルフケアに臨みましょう。

ポイント①歯ブラシの毛先をしっかりと当てる

歯に付着した歯垢を取り除くためには、歯ブラシの毛先を、キレイにしたい部分にしっかりと当てることが大切です。
きちんと当たっているのか不安な方は、鏡を見て確認しながら、歯磨きすることをおすすめします。

歯垢は特に、歯周ポケットと、歯と歯のあいだの根元部分にたまっていることが多いです。
歯周ポケットの歯垢を取り除くときには、歯に対して斜め45度の角度で毛先を当てると、奥にある歯垢もしっかりと掻きだすことができます。
歯と歯のあいだの根元部分を磨く際は、歯に対して垂直に毛先を当てて、隙間に毛先が入るようにしましょう。
そのほかの部分も、歯の形や位置に合わせながら毛先を当てて磨けば、効果的に歯垢を取り除くことができます。

ポイント②歯ブラシを小刻みに動かす

歯ブラシを小刻みに動かすと、効果的に歯垢を除去できます。
大きく動かしてしまうと、歯の表面の細かなへこみに毛先が届かず、細かい部分の歯垢を取り除けないことが多いので、気をつけましょう。
また、磨く際に必要以上に力を入れると、毛先が折れて歯垢が取りづらくなるだけでなく、歯ぐきを傷める原因にもなります。
なので、歯ブラシを動かす際は力を入れすぎず、軽く磨くようにしてください。

ポイント③歯間ケアを行う

歯磨きだけでなく、歯間ケアも非常に重要です。
歯と歯のあいだは歯ブラシの毛先を当てづらく、歯垢がたまりやすいので、歯磨きのあとの仕上げとして、専用のブラシやフロスなどで忘れずにケアしましょう。

歯周病治療は症状の進行度によってさまざまなステップが必要となる

いかがでしたでしょうか?
歯周病治療では、状況に応じてさまざまな治療が必要になりますが、何よりもご自身のケアが必要不可欠です。
ですが、正しいセルフケアの方法は、独学で簡単に学ぶことはできません。
歯医者では治療だけでなく、正しいセルフケアの方法もレクチャーしているので、自覚症状がある方も、そうでない方も、一度診てもらうことをおすすめします。

デンタルオフィス大阪梅田では、患者様の状態に合わせた、最適な治療計画をご提案しております。
「今の自分の歯の状態がよくわからない」「どのような治療になるのかわからない」という方も、まずは当院へご相談ください。

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コラム監修者

監修者の写真

中島 航輝
なかじま こうき

役職

理事長(梅田院の院長)

資格

略歴

  • 1997年 明海大学 歯学部入学
  • 2003年 同大学 卒業
  • 2003年 東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 顎口腔機能再構築学系 摂食機能保存学講座 摂食機能保存学分野 博士課程 入学
  • 2006年 顎咬合学会 特別新人賞
  • 2007年 同大学院 修了 歯学博士所得
  • 2007年 東京医科歯科大学 歯学部附属病院 医員
  • 2007年 世田谷デンタルオフィス 開院
  • 2008年 医療法人社団世航会 設立
  • 2013年 明海大学歯学部 保存治療学分野 非常勤助教
  • 2014年 明海大学歯学部 保存治療学分野 客員講師
  • 2015年 昭和大学歯学部 歯科矯正学分野 兼任講師
  • 2016年 明海大学歯学部 補綴学講座 客員講師
  • 2020年 日本大学医学部 大学院医学総合研究科生理系  入学

著者本など

「まずはこの1冊から! はじめてのホワイトニング」
「dentist インタビュー記事」
「東京ドクターズ インタビュー記事」
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