公開日 2023.02.17 更新日 2026.10.29

インプラント治療で使用される局所麻酔・静脈内鎮静法の特徴

インプラント治療は外科手術を伴うこともあり、麻酔が行われます。
「どのような麻酔が使われるのかわからなくて不安」「不安だから全身麻酔を選択したい」と感じている方のため、麻酔の詳細について紹介します。

この記事を読むことによってインプラント治療ではどういった種類の麻酔が使われるのか、どのようなメリット・デメリットがあるのかなどが分かるようになるので、ぜひ参考にしてみてください。

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インプラント治療で用いられる麻酔の種類

インプラント治療で使われるものは、大きく分けて「局所麻酔」と「静脈内鎮静法」の2種類です。

局所麻酔とは、局所的に痛みを感じさせないようにするための注射による麻酔のことであり、虫歯治療でもよく使用されます。
インプラント治療の中でも代表的な麻酔の種類です。

静脈内鎮静法は、点滴を使用して麻酔薬や鎮静剤を体内に投与する方法です。
不安や緊張を和らげる効果があり、局所麻酔と併用されることもあります。

全身麻酔は使用しないのか?

手術をする際に使われるものとしては全身麻酔を想像する方もいるはずですが、インプラントの治療において基本的に全身麻酔は行われません。
これは、全身麻酔を必要とするほどの手術ではないことが大きな理由です。
一般的に全身麻酔は開腹手術のように、大規模な手術で選択されています。

全身麻酔を行う場合、呼吸管理や入院が必要になることや、費用が高額になるなどのデメリット・リスクも大きいです。
こういった理由もあり、インプラント治療においてはほとんどのケースで局所麻酔か静脈内鎮静法を選択する形になります。

こちらの記事では、手術の流れは異なる一回法と二回法があり違いや特徴を解説していますので合わせてご覧ください。
関連記事:インプラント治療の一回法と二回法とは?違いや特徴を解説

局所麻酔を補助する笑気麻酔・表面麻酔

局所麻酔と静脈内鎮静法のほかに、局所麻酔を補助する目的で使われる方法もあります。

表面麻酔は、麻酔の注射をする前に、針を刺す部分の歯ぐきへゼリーや軟膏状の麻酔薬を塗る方法です。
針を刺すときの刺激を和らげる役割があり、日本歯科麻酔学会も注射の痛みを軽減する一般的な方法として紹介しています。

笑気麻酔は、鼻から亜酸化窒素(笑気)というガスを吸い、緊張や不安を和らげる方法です。
意識はある程度保たれるため、歯科医師と会話をしながら治療を受けられます。

ただし、どちらも手術中の痛みを止めるものではありません。
痛みを抑えるのは局所麻酔の役割であり、表面麻酔や笑気麻酔だけでインプラント手術を行うことはありません。

関連記事:笑気麻酔とは?効果・副作用・注意点を解説

インプラント治療で使用される「局所麻酔」とは

インプラント治療においては、基本的に局所麻酔が選ばれます。
局所麻酔のみで治療するメリットと、デメリットについて解説します。

局所麻酔のみで治療するメリット

まずメリットとして挙げられるのが、費用を抑えられる点です。

静脈内鎮静法を併用する場合は追加費用がかかる形となります。

ですが、局所麻酔は必須であることから、追加費用がかかることはありません。
できるだけインプラント治療にかかる費用を抑えたい方は、局所麻酔のみで検討してみると良いでしょう。

もちろん、手術中は痛みを感じないのもメリットです。

関連記事:インプラント治療で痛みを感じるタイミングや和らげる方法

局所麻酔のみで治療するデメリット

次にデメリットとして挙げられるのが、局所麻酔を打ったとしても意識は明確である点です。

痛みはありませんが、手術中もはっきりと意識があるため、音や感覚に対して恐怖を感じる方がいます。
手術に対して強い不安や恐怖を感じているのであれば、静脈内鎮静法の併用についても検討したほうが良いでしょう。

また、静脈内鎮静法では時間間隔がなくなりやすいのに対し、局所麻酔は意識を保ったまま行われるので手術時間を長く感じやすいのもデメリットです。

こちらの記事では、インプラント治療を受ける際に起こりうるリスクを、手術前と手術中、そして手術後に分けて解説していますので合わせてご覧ください。
関連記事:インプラント治療を受ける際に起こりうるリスク

局所麻酔は、注射をしてすぐに効くわけではありません。
注射のあと少し時間を置き、しっかり効いていることを確かめてから手術を始めます。

麻酔の効果は手術が終わってからもしばらく続き、その間は唇や頬、舌の感覚が鈍くなります。
感覚が戻らないうちに食事をすると、頬の内側を噛んだり、熱い物でやけどをしたりするおそれがあるため、食事は感覚が戻ってからにしましょう。
感覚を確かめようと、唇や頬を噛んだり強くつまんだりするのも避けてください。

効いている時間は、麻酔薬の種類や量、注射した部位によって変わります。
歯科で使う局所麻酔薬の多くには、効果を強めて長持ちさせるための血管収縮薬が含まれています。

関連記事:インプラント治療術後の過ごし方とは?食事や歯磨きの注意点

インプラント治療で使用される「静脈内鎮静法」とは

静脈内鎮静法は希望時など、必要に応じて行われる形となります。
使用されるケースとメリット、デメリットについて解説します。

静脈内鎮静法を使用するケース

静脈内鎮静法については、局所麻酔だけで進めることに恐怖を感じて耐えられない場合や、静脈内鎮静法を行った方が良いと判断された場合に選択されます。

例えば、口の中に手術器具を入れられた際に嘔吐してしまう「嘔吐反応」が強い方は、静脈内鎮静法を選択するとによって反応を抑えることが可能です。
緊張を抑えられることから血圧や脈拍も安定するので、高血圧の方や心疾患がある場合も静脈内鎮静法を使用することがあります。

静脈内鎮静法のメリット

静脈内鎮静法を選択する大きなメリットは、眠くなるような感覚があり、リラックス効果が得られる点です。
意識がはっきりしている局所麻酔のみの場合と大きく異なるポイントでもあります。

全身麻酔の場合は意識を失うことになりますが、静脈内鎮静法ではぼんやりとした状態になるものの、完全に意識は失いません。
医師からの呼びかけにも答えられます。
また、全身麻酔のように呼吸管理は必要なく、入院も不要です。

いつの間にか手術が終わっていたような状態になるため、精神的な負担を抑えられます。

静脈内鎮静法のデメリット

デメリットとして注意しておきたいのが、静脈内鎮静法自体には鎮痛作用はないということです。
そのため、静脈内鎮静法を選択してインプラント治療を行いたいと考えているのであれば、局所麻酔も行うことになります。
基本的に静脈内鎮静法は保険適用外となるため、費用の問題も考えておきましょう。

また、静脈内鎮静法で手術した後は眠気を感じることがあるため、自身で車やバイクを運転して帰ることはできません。
歯科医院が自宅から遠い場合は公共交通機関を使用するか、迎えを手配する必要があるでしょう。
その日一日はぼんやりしてしまうこともあるので、手術後はすぐに帰宅し、家で安静に過ごすことになります。

こちらの記事では、インプラント治療術後の過ごし方を解説しています。合わせてご覧ください。
関連記事:インプラント治療術後の過ごし方とは?食事や歯磨きの注意点

静脈内鎮静法を受けられない・注意が必要な方

静脈内鎮静法は多くの方に行える方法ですが、受けられない方や、慎重な判断が必要な方もいます。
主に、妊娠初期の方、使う鎮静薬に過敏症(アレルギー)の既往がある方、使う薬が禁忌となる病気(重症筋無力症、急性閉塞隅角緑内障など)がある方は、受けることができません。

また、妊娠中の方、睡眠時無呼吸症候群など空気の通り道がふさがりやすい方、呼吸や心臓の働きが大きく低下している方、以前の鎮静で体調を崩した方などは、特に慎重な対応が必要です。
ただし、高血圧や心臓病がある方は、病気の状態によって判断が分かれます。持病や服用中の薬は、お薬手帳を持参して伝えましょう。

静脈内鎮静法を受ける日の流れと事前の準備

静脈内鎮静法を受ける前には、体調や持病、服用中の薬を確認し、当日の注意事項の説明を受けます。
鎮静中に胃の中の物が気管に入る(誤嚥)のを防ぐため、手術前には飲食の制限があります。

通常の食事は8時間前まで、牛乳や軽食は6時間前まで、水やお茶などは2時間前までとされていますが、実際には歯科医院の指示に従ってください。
持病の薬を当日飲んでよいかも、事前に確認しておきましょう。

当日は血圧計などのモニターを付けて点滴を始め、鎮静が効いたことを確かめてから局所麻酔と手術を行います。
手術後は、ふらつきがないかなど回復を確認してから帰宅します。帰りは付き添いの方と帰るのが望ましいとされています。

静脈内鎮静法の安全管理

静脈内鎮静法では、鎮静が深くなりすぎると、呼吸が弱くなる、血圧が下がるといった変化が起こることがあります。
そのため鎮静中は、モニターで血圧・脈拍・血液中の酸素の状態(酸素飽和度)を続けて確認しながら、呼びかけに応じられる程度の深さになるよう薬の量を調整しましょう。

当院では、静脈内鎮静法を麻酔科医と連携して行っています。
もし、静脈内鎮静法を検討する際は、誰が鎮静を管理するのかを事前に確認しておくと安心です。

インプラント治療の麻酔にかかる費用

局所麻酔はインプラント手術に欠かせないため、手術とは別の追加費用はかかりません。
一方、静脈内鎮静法や笑気麻酔を併用する場合は、追加の費用がかかります。

当院の料金表では、静脈鎮静が99,000円、笑気麻酔が22,000円です。
麻酔の費用や治療費に含まれる範囲は歯科医院によって異なるため、見積もりの段階で確認しておきましょう。

なお、静脈内鎮静法は、点滴で鎮静薬を入れて緊張や不安を和らげる方法で、眠気やふらつき、気分不良、点滴部位の痛みなどが起こることがあり、当日は車の運転ができません。
笑気麻酔でも、吐き気や頭痛、めまいなどが出ることがあります。

費用とあわせて、こうしたリスクも確認したうえで選びましょう。

インプラントの麻酔に関するよくある質問

最後にインプラント治療の麻酔について、よくある質問にお答えします。
麻酔が効きにくかったときの対応や、過去に麻酔で体調を崩したことがある場合の伝え方など、事前に知っておくと不安を減らせるでしょう。

麻酔の注射そのものの痛みや、痛みを和らげる方法については、下記の関連記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

関連記事:インプラント治療で痛みを感じるタイミングや和らげる方法

麻酔が効きにくいことはありますか?

局所麻酔の効果は、体質によって影響を受けることはありません。
ただし、歯ぐきの周りに強い炎症がある部位や膿がたまっている部位、骨が硬く麻酔薬が浸透しにくい部位では、十分な効果が得られないことがあります。
緊張が強いと痛みに敏感になり、効きにくく感じられることもあります。

もし、手術中に痛みを感じたら、我慢せずに歯科医師へ伝えて麻酔を追加するなどして対応してもらいましょう。
「痛いときは手を挙げる」などの合図を事前に決めておくと安心です。

以前に麻酔が効きにくかった経験がある方は、そのことも事前に伝えておくとよいでしょう。

麻酔で体調が悪くなったことがある場合は?

以前の歯科治療で、麻酔の注射のあとに気分が悪くなった経験がある方は、事前に歯科医師へ伝えてください。
局所麻酔薬による重いアレルギーの頻度は極めて低いとされています。

「麻酔のアレルギー」と言われた方でも、実際には血管迷走神経反射(いわゆる脳貧血)や過換気症候群によって気分が悪くなっていたケースが多く、本当にアレルギーによるものなのかを見分けることが大切です。
そのため、いつ、どのような症状が出たのかを具体的に伝えると必要に応じて、専門の医療機関での検査や、使う薬剤の変更を検討します。

また、麻酔の注射に対する恐怖心が強い方には、静脈内鎮静法などを併用する方法も選択肢の一つです。

麻酔について不安があれば医師に相談を

いかがでしたでしょうか?

今回はインプラント治療で行われる麻酔について紹介しました。
麻酔の種類とメリット・デメリットについてご理解いただけたかと思います。
局所麻酔のみでは不安な方は、静脈内鎮静法についても相談してみると良いでしょう。

デンタルオフィス大阪梅田では静脈内鎮静法にも対応しているので、不安に感じている場合はご相談ください。
麻酔以外についても気になることや不安なことがある場合は、担当の歯科医師がしっかりとご説明しています。

大阪梅田でインプラント治療をご検討中なら「デンタルオフィス大阪梅田」までお越しください。

コラム監修者

監修者の写真

中島 航輝
なかじま こうき

役職

世航会デンタルオフィス 理事長

略歴

  • 1997年 明海大学 歯学部入学
  • 2003年 同大学 卒業
  • 2003年 東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 顎口腔機能再構築学系 摂食機能保存学講座 摂食機能保存学分野 博士課程 入学
  • 2006年 顎咬合学会 特別新人賞
  • 2007年 同大学院 修了 歯学博士所得
  • 2007年 東京医科歯科大学 歯学部附属病院 医員
  • 2007年 世田谷デンタルオフィス 開院
  • 2008年 医療法人社団世航会 設立
  • 2013年 明海大学歯学部 保存治療学分野 非常勤助教
  • 2014年 明海大学歯学部 保存治療学分野 客員講師
  • 2015年 昭和大学歯学部 歯科矯正学分野 兼任講師
  • 2016年 明海大学歯学部 補綴学講座 客員講師
  • 2020年 日本大学医学部 大学院医学総合研究科生理系 入学
  • 2025年 同大学院 修了 医学博士取得
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