公開日 2023.06.26　更新日 2025.10.21

親知らずの虫歯の原因と治療法｜虫歯を放置するとどうなる？

親知らずはほかの歯より奥に位置しているため、歯ブラシが届きにくく、虫歯や歯周病のリスクが高い部位です。
虫歯は初期段階では自覚しにくく、放置すると悪化する可能性があります。
ここでは、親知らずが虫歯にならないためのケア方法と、万が一虫歯になった際の特徴や治療の流れを解説します。

梅田で歯医者・歯科をお探しならデンタルオフィス大阪梅田までご相談ください

親知らずが虫歯になることはある？

親知らずは奥歯のさらに奥に生えてくる歯で、ほかの歯よりも虫歯になるリスクが高い歯です。
親知らずが虫歯になりやすいのは、口の奥に位置しており歯ブラシが届きにくく、汚れが溜まりやすいためです。
また、親知らずが斜めや横向きに生えると、隣の歯を圧迫し、虫歯や歯周病の発症リスクを高めます

親知らずの虫歯を放置するとどうなる？

親知らaずの虫歯を放置するとどうなるのか

親知らずの虫歯を放置すると、さまざまなリスクが生じます。
ここでは、その主なリスクを解説します。

関連記事：親知らずが痛いときに考えられる原因と腫れが出たときの対処法

痛みや腫れが生じる

虫歯は自然に治ることはなく、放置すると細菌が増殖して口内環境を悪化させます。
虫歯菌が繁殖すると、症状は親知らずに留まらず、周囲の歯や歯茎にも広がり、「歯性感染症」と呼ばれる細菌感染を引き起こすことがあります。
歯性感染症は腫れや痛みを引き起こし、重症化すると顔や顎にまで炎症が広がることがあります。

親知らずの虫歯は初期段階では痛みが少ないこともありますが、放置すると悪化しやすいため、異常を感じたら早めに歯科医に相談することが大切です。

口臭が発生する

口内のプラークは口臭の一因ですが、虫歯になると細菌が増殖し、臭いが強くなる傾向があります。
さらに、虫歯が悪化すると神経や歯茎が化膿し、独特の不快な臭いを発するようになります。
口臭がいつもと違うと感じた場合は、虫歯が悪化している可能性があります。気になったら早めに歯科を受診しましょう。

歯髄が壊死する可能性がある

親知らずを放置し、虫歯菌が歯髄にまで達すると神経が壊死する可能性があります。
神経が壊死すると一時的に痛みは軽減しますが、虫歯自体は進行し続けます。
死んだ神経が化膿して、大きな腫れや炎症を引き起こすこともあり、早期の治療が求められます。

病気にかかるリスクがある

親知らずの虫歯を放置していると、単に虫歯が悪化するだけではなく、ほかの病気に掛かるリスクが大きくなります。
虫歯が原因で重度の感染症を引き起こし、全身に影響を及ぼす場合もあります。

特に抵抗力の弱い幼児や高齢者は注意が必要です。幼児では感染症による発熱を起こすことがあり、高齢者では口腔内の細菌を誤嚥して誤嚥性肺炎を発症するおそれがあります。
これらのリスクを防ぐためにも、日頃からデンタルケアを心がけ、虫歯になった際は早めに治療を受けましょう。

親知らずの虫歯の進行度

親知らずの虫歯は、進行の程度によっていくつかの段階に分類されています。

C0（脱灰）：歯の表面が溶けはじめた状態で初期虫歯とも呼ばれます。痛みを感じないことが多い段階です。
C1（う蝕）：歯を覆うエナメル質が虫歯菌に浸食され小さな穴が開いた状態です。少ししみる程度の痛みがあります。
C2（う蝕）：エナメルの下の象牙質まで虫歯になった状態です。冷たいものを食べるとしみるような痛みがあり、時々鋭い痛みを感じることもあります。
C3（う蝕）：神経と血管が集まる歯髄まで虫歯が進行した状態です。炎症を引き起こし、ズキズキとした痛みが日常的に感じます。
C4（歯冠崩壊）：歯冠が崩壊し、根の部分だけが残っている状態です。神経の機能が低下して一時的に痛みを感じにくくなりますが、神経が感染して炎症を起こし、周囲の組織に影響をおよぼすことがあります。

通常の虫歯と同じく歯の表面から虫歯菌が少しずつ浸食し、エナメル質、象牙質、歯髄の順で症状が表れます。
症状が進行するほど治療は難しくなり、身体への負担も大きくなります。
また、親知らずの生え方によっては、治療後も虫歯が再発しやすく、抜歯が必要となる場合もあります。

親知らずが虫歯になった場合の治療方針

親知らずが虫歯になってしまったときは、どのように治療を進めていくべきなのでしょうか。
軽度、中等度以上に分けてそれぞれみていきましょう。

軽度の虫歯の場合

軽度の虫歯とはC0やC1の状態が該当し、まだ象牙質まで達していない状態です。

小さな虫歯であれば、そこを削って詰め物をするだけで治療が完了しますが、親知らずの生え方や歯並びによって何度も虫歯を繰り返すおそれがある場合もあるでしょう。

「親知らずの生え方が悪いが、繰り返し通院をしたくない」「親知らずの生え方の問題で、虫歯や歯周病のリスクが非常に高い」といった状態であれば、顎のスペースの広さや歯の機能を考えて抜歯も検討する可能性があります。

痛みや腫れが出ている場合

痛みや腫れが出ている状態は、すでに神経が過敏に反応するC2以上の虫歯です。
人により痛みの程度や耐性は異なりますが、知覚過敏のような症状が出る虫歯であれば早期に治療を開始しましょう。

親知らずが歯周病によって炎症を起こすと、患部が熱をもって腫れやすくなります。
その場合は歯垢や歯石を取り除いて歯周ポケットや歯周組織の消毒をしますが、親知らずが直接の原因になっているときは抜歯も治療の選択肢に入ってきます。

親知らずを抜歯する際にかかる費用

親知らずの抜歯は、抜きやすさ（生え方）によって費用が変わります。
まっすぐ上向きにきれいに生えており、スムーズに抜ける健康な親知らずであれば、1本当たり2〜3,000円程度で抜歯が完了します。
斜め向きでも、抜きやすければ上向きの歯と同じくスムーズに抜歯が行えます。

「水平埋伏（すいへいまいふく）」と呼ばれる、横向きに生えてしまった親知らずについてはそれよりも費用がかかります。
抜歯と処置で5,000円前後が一般的な目安です。

※紹介した費用は、一般的な治療費の目安です。
通院の回数、処置の内容、適用される保険の種類によって金額が異なるため、詳細はかかりつけ医にご確認ください。

親知らずを抜歯したあとの過ごし方

親知らずを抜歯したあとは、患部が治るまで出血や痛みがあります。
頬が大きく腫れて、数日するとあざが出てくる場合もあります。
治療後は口の中を清潔にして、こまめなうがいも心掛けてください。

症状は時間の経過とともに和らいでいくので、特別な処置は不要です。
抜歯初日から数日間は安静を心掛け、激しい運動・熱いお風呂への入浴は避けてください。

タバコのように化学物質が多量に含まれている嗜好品は、血行不良を招いて歯茎まわりの治りを遅くさせます。
辛いものやアルコール類のような、刺激の強い食事も控え、硬いものや尖ったものも食べないようにしましょう。

親知らずの虫歯を防ぐためにできること

親知らずの虫歯は抜歯が必要なほど悪化しやすく、体への負担も大きなものとなります。
そのため、日頃から丁寧なデンタルケアを意識し、予防に努めることが大切です。
ここでは親知らずの虫歯を防ぐために、日常でできる予防のポイントを紹介します。

丁寧にブラッシングする

虫歯予防には歯磨きが欠かせませんが、親知らずは口の奥にあるため、一般的な歯ブラシでは磨き残しが生じやすい部位です。
そのためタフトブラシを使って、丁寧な歯磨きを心がけましょう。
タフトブラシはブラシ部分が小さな歯ブラシのことで、親知らずの周りを洗うのに向いています。
歯磨きは強い力を入れず、鉛筆を持つように握って小刻みに動かすと、汚れが落ちやすくなります。
また、タフトブラシは歯と歯の間の根元部分の清掃にも適しており、通常の歯ブラシと使い分けることで、より効果的に虫歯を予防できます。

定期的に検診を受ける

丁寧に歯磨きをしても、自力で落とせる汚れは限られており、磨き残した歯垢が蓄積していきます。
歯垢は2〜3日で石灰化して歯石となり、自力では除去が難しくなります。
そのため数ヵ月に一度の頻度で、歯科医院で歯石の除去を受けることが推奨されています。

また、定期検診を受けておけば、異常が見つかった際に早期治療が可能です。
虫歯の治療は早期に行うことで、経済的・身体的な負担を軽減し、歯の寿命を延ばすことにつながります。

虫歯以外にも親知らずが痛むことはある？

親知らずが虫歯にならなくても、親知らずの歯茎が歯周病になって痛むことがあります。
親知らずの歯周病は「智歯周囲炎」とも呼ばれており、親知らずの周囲が汚れが溜まりやすいため、ほかの歯周病より悪化しやすいとされています。
口の奥に炎症ができるため、放っておくと痛みや腫れから口の開閉にも悪影響を与え、ひどい場合は顎骨骨髄炎といった感染症を引き起こします。

治療は主に抗生物質などの薬を使用しますが、親知らずの生え方によっては重症化や再発のおそれがあり、抜歯が必要となる場合もあります。

親知らずの虫歯は放置せず早めに対処しよう

ここでは親知らずの虫歯を放置した際のリスクと治療方法について説明しました。
親知らずは口の奥にあるため、歯磨きでは汚れを完全に除去することは難しく、ほかの歯に比べて歯周病や虫歯のリスクが高くなります。
親知らずの虫歯を放置すると、他の疾患を引き起こすおそれもあるため、歯に異常を感じたら早めに歯科クリニックへ相談してください。
親知らずの治療は必ずしも抜歯を伴うわけではないため、まずは自分の親知らずの状態を正確に把握することが大切です。

大阪梅田のインプラント治療なら「デンタルオフィス大阪梅田」

コラム監修者