インプラント治療の適応年齢と年齢制限・治療不可となるケースを紹介

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インプラント治療は歯根を失くしてしまった方でも、人工的に作成したインプラント体を埋め込んで自分の歯を立てられる治療方法です。入れ歯や差し歯しか選択肢がなかった方も、歯根に支えられた頑丈な歯を手に入れられます。

ここでは、インプラント治療が受けられる適応年齢について、上限や平均年齢、ご高齢の方が治療を受ける際に意識しておきたいポイントを紹介しています。これからインプラント治療を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。

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インプラントの適応年齢について

インプラントは、特定の基礎疾患や与薬がなく、通院が可能な成人であれば適応可能と判断されます。

年齢的な制限として、厳密には18歳以上と決められていますが、骨がインプラント治療に適合できるまで成長した成人者が対象となる点に注意が必要です。

例えば、18歳を満たしていてもまだ骨が成長途中である、骨の量が十分ではないと検査診断によって判明した場合には、骨の成長を待つか他の治療に変更するため、インプラント治療を無理に進めることはありません。

インプラント治療が受けられる年齢

インプラント治療は、18歳以上の健康な方が治療の対象となります。年齢だけをみて治療が決まるわけではなく、検査や診断に応じてお口の中の状態をみながら、全体的な健康もチェックしたうえで判断します。

インプラントが受けられる年齢の上限

インプラント治療が受けられるのは、あごの骨が成長し骨量が十分にある方となります。年齢だけをみて判断するわけではありませんが、年齢の上限としては70歳程度が目安になるでしょう。

人間の体内では骨が形成と分解を繰り返していますが、老化とともに分解量が上回るために、骨量が減っていきます。あご周りの骨も同様に、歯をしっかりと支えられる土台が徐々にもろくなっていきます。

70歳を一応の上限としていますが、患者さんによっては60代でも骨量が少なく、インプラント治療が受けられない可能性があります。

インプラント治療を受ける方の平均年齢

厚生労働省の平成28年度統計「歯科疾患実態調査結果の概要」によると、歯を喪失した被調査者のうち、インプラントを装着している方は40歳から84歳までにみられ、そのうちもっとも装着率が高かったのは65歳から69歳までであり、ついで多かった年代が70歳から74歳までの年代でした。

被調査者のなかでも40代、50代は被調査者の数そのものが少なく、インプラントの装着率も高くはなかった一方で、60代から80代の方は被調査者の数が増えるとともに、インプラントの装着率も高くなっていました。

60代以降にインプラントの装着率が高い理由として、インプラント治療は歯を失った方のための治療ですから、それまで使用していた差し歯や入れ歯の代わりとしてインプラントを選ぶ方が多いようです。

参照元:厚生労働省表「平成28年歯科疾患実態調査結果の概要(表16. 補綴物の装着の有無と各補綴物の装着者の割合)」

高齢でインプラント治療を受けるデメリット

高齢の方がインプラント治療を受ける際には、骨量が十分であること以外にも以下の4つのデメリットに注意しなければなりません。

デメリット①外科手術による体への負担

インプラント治療では、歯槽骨と呼ばれる歯根の奥の骨にインプラント体を埋め込みます。外科手術が必要になり、抜歯と手術をそれぞれ分けて行う「2回法」では、抜歯後に2度の手術が必要になります。体にかかる負担がデメリットになります。

デメリット②細菌感染

年齢が高くなると、体に元から備わっている抵抗力も加齢にあわせて低下していきます。インプラント治療では必要に応じて歯根の除去と、インプラント埋入の際にあごの骨を削る手術が行われるため、細菌感染のリスクが伴います。

デメリット③骨と結合しにくい

抵抗力が下がると、ちょっとした傷でも治りが遅くなってしまいます。傷口の治りに時間がかかる方はインプラントと骨の結合にも時間がかかるおそれがあります。

骨が結合しなければアバットメントや上部構造の取り付けができなくなるため、インプラント治療が延びてしまいます。

既往症を抱えている方は特に抵抗力が落ちており、回復までに時間がかかってしまう可能性があるため、十分な体力がなければインプラント治療は避けたほうが良いでしょう。

デメリット④病気のリスクがある

高齢の方は骨粗鬆症の治療薬(ビスフォスフォネート系薬剤)が骨の代謝に影響し、あごの骨の回復が長くなってしまうおそれがあります。

高血圧の方は手術に際して血圧が上がるほか、反対に血圧を下げる薬による副作用で体調不良の可能性が懸念されます。抗菌薬や鎮痛剤によって高血圧薬の効果が低減する問題もあります。

心臓病・糖尿病の方は血液に関わる薬剤の影響で、手術中の出血が止まりにくくなるおそれがあります。また糖尿病の方は抵抗力が落ちている可能性があるため、細菌感染のリスクに備えなければなりません。

年齢に関係なくインプラント治療が受けられない方

高齢の方は既往症の状況によってはインプラント治療が難しくなるおそれがありますが、年齢に関わらず治療が受けられない場合もあります。

状況①顎の骨が不足している方

あごの骨量が不足している方は、歯を支える土台が十分ではないために、インプラントがぐらつくおそれがあります。骨造成手術と呼ばれる治療で骨を増やし、インプラント治療が可能になる場合もあります(詳しくは検査後に医師とご相談ください)。

状況②妊娠中の方

妊娠中の方は投薬が厳密に禁じられているために、インプラント治療とアフターケアに必要な麻酔・抗菌薬・鎮痛剤の処方ができません。治療によって母体にかかる負担も考慮し、出産後に体の状態が安定してからインプラント治療を検討してください。

こちらの記事では、妊娠中のインプラントに代わる処置を解説しています。合わせてご覧ください。
関連記事:妊娠中のインプラント治療は可能?注意しておくべきリスクと影響

状況③持病のある方

持病がある方も、症状によっては治療が難しいと判断されます。既往症の治療に服用している薬によっては、骨の代謝や血液の状態に影響するために、インプラント手術が難しくなる場合があるためです。

しかし持病が回復し健康に近づくにつれて、投薬の量が減るなどしてインプラント治療が可能になることもあります。持病を抱えておりインプラント治療を検討している方は医師と相談のうえ、回復まで慎重に様子をみながら判断を行ってください。

状況④喫煙者の方

喫煙者の方はニコチンによる歯ぐきや歯周組織への影響が懸念されます。

喫煙者は歯周病にかかりやすく、喫煙本数が多いと歯周病の危険性が高くなるおそれもあるため、口腔内に与える影響を鑑みて、インプラント治療ができないと判断されてしまいます。

喫煙習慣が止められればインプラント治療を受けられるようになりますが、期間限定の禁煙ではなく「断煙」の状態でなければ歯周病のリスクが減ることはありませんので、タバコを止める場合は断煙を心掛ける必要があります。

状況⑤歯周病の方

歯周病を抱えている方は、まず歯周病の治療を行ってからインプラント治療へと進みます。

インプラント治療を先にしてしまうと、歯根から歯槽骨、歯周組織へと歯周病菌が入り込んで感染が広がるおそれがあるため、必ず歯周病の治療と消毒を優先的に行わなければなりません。

インプラント治療は専門医に相談を

いかがでしたでしょうか?

今回は、インプラント治療の年齢的な制限とその理由、年齢に関わらず治療を避けるべきケースについてご紹介しました。喫煙習慣や持病をお持ちの方については健康を目指しながらインプラント治療を検討してください。

大阪の「デンタルオフィス大阪梅田」では、予防歯科も含めたお口の中の治療を行っています。インプラント治療にも対応していますので、お気軽にご相談ください。

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コラム監修者

監修者の写真

中島 航輝
なかじま こうき

役職

理事長(梅田院の院長)

資格

略歴

  • 1997年 明海大学 歯学部入学
  • 2003年 同大学 卒業
  • 2003年 東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 顎口腔機能再構築学系 摂食機能保存学講座 摂食機能保存学分野 博士課程 入学
  • 2006年 顎咬合学会 特別新人賞
  • 2007年 同大学院 修了 歯学博士所得
  • 2007年 東京医科歯科大学 歯学部附属病院 医員
  • 2007年 世田谷デンタルオフィス 開院
  • 2008年 医療法人社団世航会 設立
  • 2013年 明海大学歯学部 保存治療学分野 非常勤助教
  • 2014年 明海大学歯学部 保存治療学分野 客員講師
  • 2015年 昭和大学歯学部 歯科矯正学分野 兼任講師
  • 2016年 明海大学歯学部 補綴学講座 客員講師
  • 2020年 日本大学医学部 大学院医学総合研究科生理系  入学

著者本など

「まずはこの1冊から! はじめてのホワイトニング」
「dentist インタビュー記事」
「東京ドクターズ インタビュー記事」
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